グッド・イブニング ページ48
一人目はソファや飾り棚の間を縫って、ゆっくり居間を横断して行く。二人目と三人目はその援護をする形で両脇に付いている。彼らは僕に気付くことなくそのまま進み、やがて玄関の方に消えた。その後どうしたか、ここからは見えないけれど、階段を上がって行く足音が聞こえる。
でも四人目はグズグズしていた。入って来た窓の前から動こうとせず、首を巡らせて部屋を見回している。外や一階に異変があれば仲間に知らせようっていう訳か。あーあ、迷惑だな。僕はそろそろ足が痛くなって来たし、上に行った人間たちの方が気になるのに。
僕は忍び足で暖炉から離れ、ただの二歩で客人の傍らに立った。ハッと振り返った彼の顔は何処かで見たことがある気がした。何か不快な出来事とセットで。
僕は何も持っていない無防備な掌を見せ、にこやかな笑みを作って言った。
「Good evening,Mr. 僕はロビン。ここの住人の一人だけど、こんな遅くに何の用だい?」
MI6から情報が漏れたというならいざ知らず、こんな重装備で寝込みを襲って来るような
彼はきゅっと口を結び、腰から黒いナイフを抜き出した。いきなり銃声を轟かせては上のシャーロックに気付かれると思ったからだろうが、やれやれ。残念。彼は後者の方らしい。
一瞬の後、僕は身体を駒のように回転させて突き出されたナイフを躱した。同時に彼の首へ手を伸ばし、ゴキリとへし折った。彼は声一つ立てずに倒れ、後はカーテンが外からの風に煽られてひらひらしているだけ。
僕はすぐさま窓の外を確認したが、大丈夫、門の向こうの道路にも庭の花壇や木々の間にも、僕の足元で永久に眠り込んだ彼と上に行った三人の他に我が下宿の平穏を乱す者はいないようだ。マフィン君はここに置いて行っても平気だろう。
僕は彼らが開け放した扉を抜け、忍び足で階段を駆け上がった。
◆
途中の窓から見下ろせるロンドンの街は、空からココナッツパウダーをぶちまけられたかのようなありさまで暗闇の底に眠っていた。月と星は手を取り合って
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シャーロック(プロフ) - Riruriさん» うわ〜!嬉しいお言葉を本当にありがとうございます!お待ちしておりますのでぜひよろしくお願いします!感謝しております! (11月26日 0時) (レス) id: 37fed7f1d4 (このIDを非表示/違反報告)
Riruri - ネット販売おめでとうございます…!生憎金欠なので、お小遣い入ったら光の速さで購入させていただきます。本当は今すぐにでも欲しいですが……無念。これからもシャーロック様としての活動、カイマナふぁみりー様としての活動共に陰ながら応援しています! (11月24日 16時) (レス) id: fa82e694ee (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック(プロフ) - Riruriさん» お返事遅くなってすみません!実は数日前から私が脳梗塞なんじゃないかって家族と大騒ぎしていて、とても余裕がなかったんです(汗)ハロウィン短編を喜んで頂けてとても嬉しいです。敵対関係にないのに互いに踏み切れない二人。歯痒いけれどもそれがいい! (10月15日 22時) (レス) id: 37fed7f1d4 (このIDを非表示/違反報告)
Riruri - 別世界線の二人も中身はそのままなのに設定が違うだけでここまで関係性も変わっていくのかと驚きましたし、それと同時により二人のことが大好きになりました💞素敵な作品を読ませてくださり本当に有難うございます!!読みにくい長文コメント失礼致しました💦 (10月11日 14時) (レス) id: 7e45e119a7 (このIDを非表示/違反報告)
Riruri - ハロウィン編、物凄く素敵です…!!新たな設定の二人と知り、どうなるのかとワクワクしながら読み進めていきましたが、そのワクワクを遥かに上回る程の面白さ、“尊さ”でさっきから溜め息が止まりません笑 物語の進め方、まとめ方も凄く美しくてただただ尊敬です…… (10月11日 13時) (レス) @page35 id: 7e45e119a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャーロック | 作者ホームページ:https://kaimanafamily.wixsite.com/welcome-to-sanctuary
作成日時:2022年11月14日 17時