招かれざる客 ページ47
きんきん きらきら こうもりさん おまえは なにをねらってる――
興に乗ってイカレた帽子屋の歌やら心配性の仕立屋の歌やらを口の中で歌っていたら、いつの間にか真夜中も過ぎ、一時近くになっていた。外で庭石がじゃりじゃりいう音が聞こえて我に返った。こんな遅くに誰が来たんだろう?
そういえばマフィン君は?
ふと気付くと声がしない。不思議に思って首を回すと床に転がって寝ているのが目に入った。
それで、『ああ、そうだった』と思い出した。途中で何度か席を立とうとしたから、お茶に睡眠薬を混ぜて眠らせたんだっけ。
それにしてもマフィン君は不器用だ。さっきまでカウチの上にいたはずなのに、寝返りでも打って落ちたのか。ま、一日くらい床で寝たって平気だろう。これでようやく目当てのことが出来るし、それに……
僕はキャンドルを吹き消し、カウチにかかっていたブランケットを取り上げて、マフィン君の体をすっぽり覆った。そして、まるでツタンカーメンの棺桶のようなシルエットになった彼をずるずる引きずって、暖炉前の低いテーブルの下に押し込んだ。ついでにソファのクッションやテーブルの本をじゃんじゃか彼の周りに積み上げ、ちょっと見にはそこに人間がいることなんか分からないようにした。まあ何で物が積み上げてあるのかも分からないわけだけど。
僕自身は、つい二十分前に火が消えた暖炉の中にしゃがみ込んだ。壁はまだ熱いけど、火傷をするほどじゃない。
まもなく居間の大きなフランス窓の辺りでガラス切りを使うキーーッという細い音が聞こえ、続いてカチッと鍵が鳴った。黒い影法師が見えたかと思うと、太い腕がぬっとカーテンを払い、スコープ付きのヘルメットに防弾チョッキ姿のお客様が四人、次々に姿を現した。銃を構えながら。
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シャーロック(プロフ) - Riruriさん» うわ〜!嬉しいお言葉を本当にありがとうございます!お待ちしておりますのでぜひよろしくお願いします!感謝しております! (11月26日 0時) (レス) id: 37fed7f1d4 (このIDを非表示/違反報告)
Riruri - ネット販売おめでとうございます…!生憎金欠なので、お小遣い入ったら光の速さで購入させていただきます。本当は今すぐにでも欲しいですが……無念。これからもシャーロック様としての活動、カイマナふぁみりー様としての活動共に陰ながら応援しています! (11月24日 16時) (レス) id: fa82e694ee (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック(プロフ) - Riruriさん» お返事遅くなってすみません!実は数日前から私が脳梗塞なんじゃないかって家族と大騒ぎしていて、とても余裕がなかったんです(汗)ハロウィン短編を喜んで頂けてとても嬉しいです。敵対関係にないのに互いに踏み切れない二人。歯痒いけれどもそれがいい! (10月15日 22時) (レス) id: 37fed7f1d4 (このIDを非表示/違反報告)
Riruri - 別世界線の二人も中身はそのままなのに設定が違うだけでここまで関係性も変わっていくのかと驚きましたし、それと同時により二人のことが大好きになりました💞素敵な作品を読ませてくださり本当に有難うございます!!読みにくい長文コメント失礼致しました💦 (10月11日 14時) (レス) id: 7e45e119a7 (このIDを非表示/違反報告)
Riruri - ハロウィン編、物凄く素敵です…!!新たな設定の二人と知り、どうなるのかとワクワクしながら読み進めていきましたが、そのワクワクを遥かに上回る程の面白さ、“尊さ”でさっきから溜め息が止まりません笑 物語の進め方、まとめ方も凄く美しくてただただ尊敬です…… (10月11日 13時) (レス) @page35 id: 7e45e119a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャーロック | 作者ホームページ:https://kaimanafamily.wixsite.com/welcome-to-sanctuary
作成日時:2022年11月14日 17時