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◎ 田中
テレビ局の中を歩いていると自販機の前で岸を見つけた。声を掛けるとよっぽど驚いたのか目を丸くしている。
そういえば今日岸と仕事あるって言ってたっけ。
「 なあ岸、楽屋どこ？ 」
岸「 そこ真っ直ぐ行って右に曲がったとこっす！ 」
「 了解。イチャつきたいから5分後くらいに来て 」
え！！！と中々にデカい声が響き渡り、俺は岸を置いて楽屋に向かう。曲がったところで楽屋の扉がひとつ開いたままな事に気がつく。
入り口には最近よくテレビで見かける俳優が立っていて、壁には“ 岸優太様、桜田メイ様 ”とご丁寧な貼り紙が。
嫌な予感がして楽屋の前に行くと案の定、俳優がメイに連絡先をしつこく聞いてるところだった。本当モテるんだよな俺の彼女。
「 彼女、嫌がってますよ 」
しんと静まり返った楽屋に俺の低い声が響く。俺が来たことで安心したのか涙目のメイ。今すぐにでも抱きしめてあげたいけど、バレる危険性を考えるとそれは難しい。
山本「 ひっ、田中くん、 」
「 とりあえず出てってくれます？好きなら相手が嫌がるようなことしちゃ駄目っすよ 」
山本「 べ、別に好きなんかじゃねえよ！！ 」
そう言って楽屋を去っていった俳優。扉が閉まってすぐ俺はメイに駆け寄る。
「 怖かったよな。ごめん 」
『 ううん、樹くんが助けてくれたから大丈夫だよ 』
ありがとう、と微笑むメイ。あまりの可愛さに我慢できなくなって顔を近づける。あともう少し…という所で扉が開いて岸が入ってくた。きっちり5分で来やがったこいつ。
岸「 ど、どうぞお構いなく！！ 」
「 そ？じゃあお言葉に甘えるわ 」
可愛いメイの顔が見えないよう彼女の背中を岸の方に向ける。
そして彼女の柔らくて綺麗な唇にそっと触れた。
岸、お前ガン見しすぎだから。
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作者名：ひな | 作成日時：2024年3月28日 12時
